【札幌 弁護士コラム】ファイナンスのお話(2):非上場会社の株式はどうやって値段が決まるの?
こんばんは、荒木でございます。
一昨日、昨日と旭川に行ってまいりました。
遊びに行ってたんじゃないですよ。
視察です、視察。
まぁ、やっぱり日本酒は飲んでたわけですが(笑)。
旭川でお会い頂いたみなさん、ありがとうございました!
さて、そんなわけでファイナンスのお話の続きです。
非上場会社の株主が株を売るためにM&AやIPOを目指す、というお話をしました。
当然気になってくるのが、「じゃあ、株っていくらで売れるのよ?」というお話。
これってなかなかに難しい問題です。
それというのも、M&AやIPOが必要になるというのは、非上場株式というのは基本的に誰も買ってくれないからなのです。
一般的な話でいえば、食品や日用品など、誰もが買うようなものであれば、自然と市場価格というものができてきます。
しかし、一方で、アイドルのサイン色紙や画家の作品であれば、人それぞれ価値観が違うのであり、簡単に値決めができるようなものではありません。
非上場株式もそんなように、簡単に値決めができないものなのです。
じゃあ、基準がないのかというとそうでもありません。
会社には純資産というものがあり、それを株式数で割って出てくる純資産法や、将来どれくらいの収益性があるかを算定したうえで、それを現在の価値に換算するDCF法、類似の業種の収益性などを参考にして評価する類似業種比較法など、様々な方式があり、それらの組み合わせによって評価がなされます。
(この辺りは会計士さんの専門領域なのであまり多くを語ることはやめておきます。汗)
しかし、これらいかなる方式を用いるかで全く結論は異なってくるため、売主と買主とで評価方法が異なれば金額がまとまらないことにもなり、交渉を要する部分となります。
一方、このような株価評価を行うに当たっては、前提となる情報を確認する必要があります。
売主は自分の会社のことですので、よくわかっているのであって、高く売るための要素はいくらでも出すことができます。
逆に買主は、相手の会社がどのようなものなのかを十分に把握していませんので、売主に情報開示を求めることになります。
そこで売主からまず開示されるのが決算書類です。
しかし、決算書類を見れば全てが解決するのかというとそうではありません。
それというのも、決算書類には簿価で表記されているものがあり、時価評価しなければならないからです。
また、これ以上に重要なのが決算書類に書かれていることが本当であるかどうかを確かめることです。
「決算書類は税務署に出しているから、間違いないんじゃないの?」という向きもありますが、必ずしもそうではありません。
決算書類に記載されていた在庫が本当は存在しないことだってありますし、売掛金として計上していたとしても実際には焦げ付いていて、何の価値もないものもあります。
さらに、決算書に載っていない債務、すなわち簿外債務があることもあります。
これらのことを調べるのがデューディリジェンス、いわゆるDDなのです。
少し長くなってきたのでDDの話は次回に回しますが、このように非上場株式を評価することは計算方法を決めるのも、前提となる情報を揃えるのも上場会社のように簡単なことではありません。
このため、我々、弁護士、公認会計士、税理士といった士業がこの手続に協力することが1つの仕事となっているわけです。
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