【札幌 弁護士コラム】潰しても潰しても現れてくるのがリスクというもの
昨日は実家から戻り、雑務をこなすために事務所にいました。
御用納めからまだわずかですが、雑務というのはとめどなく発生するものだとつくづく思いました。
さて、年末年始というものは普段できないような自分の振り返りができるというメリットがあるものです。
私(荒木)も自分の仕事の定義について考える機会を得るような体験ができました。
それで改めて思うのが、弁護士業というのは、本来的に紛争処理を行うことで価値提供をするものではなく、法務に関するリスクをコントロールすることで価値提供を行うものであるということです。
このことは、法律家以外の方にははっきり言ってまるで浸透していない話ですし、弁護士であっても理解していない人が多く見受けられます。
お医者さんの世界でいえば、「風邪を引いたら薬を出してくれる仕事」ではなく、「健康的な生活を阻害する病気から人を守る仕事」ということです。
法務に関してもそれ以外のことに関しても、生活をしていたり、事業活動をしていたりするとリスクというものは無限に降ってくるものです。
それに対してただリスクが顕在化すればそれに対応しているというだけではモグラ叩きと同じで、エンドレスになってしまいます。
それははっきり言ってしまえば、リスクに対する素人的な考え方でしかありません。
プロがリスクに対して対応しようとするのであれば、その根本的な原因を究明し、根本的な原因を取り除くべくアドバイスを行うのが本来的にあるべき姿です。
法律的な意味で言えば、従業員とのトラブルを回避するために雇用契約書や就業規則を見直すこと、取引先とのトラブルを防ぐために契約書を吟味すること、顧客との取引内容を明確にするために利用規約を整備することなど、法的に穴のない体制を構築することがそれにあたります。
紛争が生じた場合であって、それが収まったとしても、「やれやれ」と思うのではなく、同じようなリスクが再発しないために体制整備に移ることが非常に重要であるといえます。
このようなことを改めて胸に刻み、新しい1年の業務の方向性を見据えて行きたいと思った所存です。