【札幌 弁護士コラム】報酬の設定に悩む:二律背反の中でバランスを取る重要性

昨日は月1度行っている1on1ミーティングで、イソ弁(勤務弁護士)と話をしました。

1on1ミーティングとは、ヤフーでも行われているという社員間のコミュニケーションを図る取り組みで、主に上司と部下が1対1で面談し、仕事の悩みを解消したり、新たなビジネスアイデアを生み出そうとしたりする仕組みのことです。

当事務所でも、私(荒木)が全スタッフとミーティングを行うことにしています。

 

さて、その中で出てきたのが「個人事件のフィーはどのように設定したらいいか。」という質問でした。

これは形式的な回答は簡単なものの、実は深い課題であるように思いました。

すなわち、フィーの設定には「十分な価値提供」と「自己限定の回避」という矛盾する問題が潜んでいるからです。

 

「十分な価値提供」というのは、報酬に見合った価値を提供できているか、という問題です。

すなわち、クライアントに対して10万円の価値しか提供していないにもかかわらず、100万円を請求することでは、十分な価値提供をしていないことになります。

むしろ詐欺的だと批判を浴び、信用を落とすことになります。

 

一方で、「自己限定の回避」というのは、「自分はこれだけしかできない。」という思い込みを捨て去ることが必要、という問題です。

人は知らず知らずのうちに限界を作ってしまいますが、報酬の金額を安く設定してしまうと、「これ以上の報酬をもらえるような仕事はできない。」と思い込んでしまう恐れがあります。

陸上競技でいえば、100m走で最近までは日本人選手が10秒の壁を破れなかったところ、1人が10秒を切ったら次々に切る選手が出て来ていますが、これも実は自己限定が外部要因によって破壊されたことが原因ではないかと考えられます(あくまで推測ですが。)。

 

そのような二律背反の問題があるため、報酬の設定ということ1つにとっても実は深い悩みがあるわけです。

 

そう考えてみると、ビジネスや人生において1つの原理に従ってやっていればよい、といいうことは実は極めて少なく、常に二律背反、場合によっては3つ以上の規律の中でいかにバランスを取るか、という問題は数多く存在します。

自分が何と何との間でバランスを取ろうとしているのか、又は自分がバランスをとらなければならない問題は何か、ということに思いを致すことが意思決定基準の向上に資するのではないでしょうか。