【札幌 弁護士コラム】意思決定と不安と恐怖との関係性について:専門家が担う不安と恐怖の緩和

弁護士の仕事をしていると、意思決定において人が合理的な判断ができるかどうかという部分について考えさせられることが多くあります。

そもそも合理的な判断とは何かという命題がありますが、ここでは、人が自由な意思決定ができる環境の下、その人が持っている知識や能力の中で最も利益が大きいものを選択する判断であると仮定しておきます。

そうした場合に、どのような要素によって合理的な意思決定が阻害されているかを考えてみたいと思います。

 

様々な要素があるかと思いますが、結論からいうと、これについては、やはり不安と恐怖といった要素が非常に大きいように思われます。

すなわち、不安とは、先が十分に予見できないことにより、先に起こる事象が認識できず、自らの意思決定に自信が持てない状態をいいます。

恐怖とは、目先に迫った自らの身体や財産等に対して加えられる害悪を予測しており、意思決定においてその害悪を避けようとする状態をいいます。

 

この2つの要素が、意思決定において大きなウェイトを占めているのではないかと考えられます。

例えばそもそも、なぜ弁護士に案件を依頼するのか、という点に思いをいたした場合、交渉や訴訟自体は本人でも進められるのであり、わざわざ高いお金を払って弁護士を使わなくても良いことになっています。

しかし、訴訟になった場合に弁護士を使う理由というのは、究極、本人だと法的知識や法的手続を知らないことにより、その後に起こる不利益な結果を予見できず、不安が発生しているからと考えることができます。

また、昔から恐喝や強盗といった犯罪が存在する背景としては、自らに対する害悪があることによって、人に金銭や財物を与えるといった経済的に見れば非合理的な判断をせざるをえない状況に陥っているということになります。

 

反対の面から見てみるとすれば、人は常に不安や恐怖から逃れようとしている、ということも指摘できます。

例えば、私は相続対策のお仕事をさせていただいておりますが、一定割合のご高齢の方が、自らの資産承継に関して意思決定をされない、したくないと仰るということが見受けられます。

それというのも、このご本人としては、何歳まで生きるかがわからない、認知症や身体機能障害が生じるかどうかわからない、老後の生活資金としていくら必要であるのかがわからない、といったような将来が見通せないといった不安があることが一因であるといえます。

 

また、刑事事件などでいえば、非常に多いのが薬物犯罪です。

薬物犯罪に至る経緯も様々ありますが、最も多い理由をいうなれば、目先の不安や恐怖から逃れたいということで薬物に依存してしまうケースが最も多いと考えられます。

 

このように不安と恐怖が意思決定に及ぼす影響というのは看過できないものがあります。

しかし、一方で不安と恐怖というのは生存本能に関わるものであり、容易に拭い去ることができません。

この本能と合理的判断との間にはせめぎ合いが生じざるを得ません。

しかし、その中で、いかに意思決定基準を磨いていくということが1つの修行であると考えられます。

ここで合理的判断という言葉を使っていますが、これは結果としての合理性をいうのではなく、意思決定が歪められるような要因が存在しない中でなされるものであればよく、必ずしもいつも良い結果が生まれるという意思決定を行っているわけではないことにも留意が必要です。

 

不安や恐怖のマネジメントというのは簡単なものではありません。

しかし、専門的な知識を要する部分については専門家に委ねられる部分もありますし、第三者のアドバイザリーいることで不安や恐怖が緩和されるなど、役に立つことも少なくありません。

そうした日々の支えとなるべく、顧問業務に励んでいる今日この頃です。

 

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